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H&K HK21は、ドイツのベルト給弾式汎用機関銃である。1961年、ヘッケラー&コッホ(H&K)社がH&K G3を元に開発した。本銃は現在でもアジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国で一線で使用されており、ポルトガルのINDEP社(Indústrias Nacionais de Defesa EP, Defense National Industries Public Corporation, 旧称:Fábrica do Braço de Prata)ではm/968という名称で、メキシコのSEDENA社(Secretariat of National Defense)ではMG21という名称でそれぞれライセンス生産されている。 == 機構 == HK21は、ボルト部の後退を遅らせるのに半固定ロック機構を採用したローラー遅延式ブローバック方式の連射/単射切り替え可能な銃器である。 この遅延は、可動式のロッキング・ピースに逆らって重いボルト・キャリア部を押す伝達部となる2つの円筒形のローラーを持ち、銃腔の軸線と対称に備えられ角度をもった中間伝達システムによりボルトの慣性を人為的に増すことで達成される。 ツーピース式のボルト・アセンブリーは、上記の2つのローラーとサポーティング・ロッキング・ピース、ボルト・キャリアを含むボルト・ヘッドから構成される。「アンロック動作」では、ボルト・ヘッドは点火された薬莢からリコイル方向の衝撃を受け、ローラーに逆らい後方への圧力で銃身延長部に備わるくぼみ内に収まる。ローラーは銃身延長部の角度を持った斜面に逆らって内側に押し込まれ、クサビ形ロッキング・ピースと相互に作用し合ってそれを後方へ突き出す。ローラーが銃身延長部とロッキング・ピ-スの斜面を動く間に、ボルト・ヘッドに対するボルト・キャリアとロッキング・ピ-スへの伝達比は、4対1に保たれている。つまり、ボルト・キャリアはボルト・ヘッドより4倍早く後方へ動くことで、排莢まで銃身内の高圧を下げて安全を確保する。銃身の薬室にはいくつもの縦溝が刻まれており、膨らんだ空薬莢が薬室の壁から自由になるのを助ける。 ボルトは、ばね仕掛けによる排莢と跳ね返りを押さえる役割を担っており、ロッキング・アセンブリが前方へ戻る時に、ボルト・ヘッドが銃身延長部に斜めに当たるのを防止する。レバー型の排莢システムはトリガー・グループ・ハウジングの一部であり、発射ごとにレコイリング・ボルトによって駆動される。本銃はハンマー・ストライカーを備え、ボルトが閉鎖された状態(クローズド・ボルト・ポジション)で発射される。ピストル・グリップと一体化され、レシーバーとは蝶つがいで繋がったトリガー・グループは、回転式のファイヤーコントロール・セレクター・スイッチを備えており、"E"または"1"に合わせれば「半自動射撃」となり、"F"または"20"では「連続射撃」、"S"または"0"に合わせればトリガーが無効となる「セーフティ」となり、これが手動式の安全装置として働く。 本銃は、米国のM13や、ドイツでの相当品DM6と独自のDM1といった多様なリンク分離式の給弾ベルトによって左側面から給弾される。ラッチ式のホイール・フィード・ユニットは、標準的なマガジンが占める場所に代わって銃身軸より下のフィード・ブロックの底部位置内に挿入され容易に動くモジュールとして設計されている。ボルトがベルトより上部に来るこの配置によって、他の多くのベルト給弾式火器とは、リンク面が下方になるという点で逆向きになっている。給弾機構はボルトの往復運動によって駆動される。ボルト底部に彫られたカムの溝に給弾機構の作動部が噛み合わされることで、2つのスプロケットが回転し、新たな銃弾が給弾路内に取り込まれる。給弾ブロック内にアダプターを装着することで、ベルト給弾からマガジン給弾に簡単に変更でき、H&K社の20発入りマガジンや50発入りのドラムマガジンの使用を可能にする。HK21は、前部照準基部まで延長されて、銃口部、または給弾機構前方のいずれかに脱着可能な二脚と、三脚、または車輌固定用基部が加えられる、修正されたG3レシーバーを使用している。 HK21のおよそ48%程の部品がG3と相互交換可能になっている〔Kokalis, Peter: ''Weapons Tests And Evaluations: The Best Of Soldier Of Fortune'', page 18. Paladin Press, 2001.〕。 また、HK21は一般的な汎用機関銃や重機関銃とは異なり、元となったG3と同様にボルト閉鎖状態から撃発動作を開始するクローズドボルト方式を採用している。これはその他のアサルトライフルをベースとした軽機関銃や分隊支援火器(RPK / RPK-74 / FALOなど)にも同様にみられる傾向である。 HK21は、溝型のフラッシュサプレッサーが装着可能で迅速に交換できる重い銃身と、前部の囲い式照星と後部の開口式照門という100-1,000mまでの100m刻みで調節可能なアイアンサイトを持つ。 銃身やボルト、給弾ユニットのように多種の部品が簡単に交換可能であるため、本銃は、7.62x39mmと5.56x45mmとの中間にある口径にすばやく変更できる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「H&K HK21」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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